宮の杜




3、斎 庭


 掃き清められた参道、神々しい殿舎のたたずまいと共に、箒で丁寧に掃いておられる方に会釈をして通り過ぎる清々しい気分。私たちの日常生活を営む場所もかくあるべきと思います。
清潔・整理・整頓された生活空間は、やはり神社のこの清浄さに相通ずるものであると思います。
 参拝の度に心洗われ、身の引き締まる思いに打たれるのは参拝者の等しく感ずる所です
 「神は清浄を以て第一となす。」神秘抄の中の一節であります。古来、日本人は、祭りの斎庭(ゆにわ)と称して、一定の場所を祓い清めて祭場、祭礼行事、神せんという神々にお供えをする場所にあてました。
 天照御大神が皇孫邇々杵尊を高天原より豊葦原の瑞穂の国へお下しの際、斎庭の稲穂を授けられ「天の下悉く播き植えて国民の喰みて生く可き物となせ。」と稲苗をお授けになったと伝えており、又、天皇即位の大嘗祭の折り、特設される大嘗宮は最高に神聖な斎庭とされています。
即ち斎庭とは神聖な場所として一定の区画を保った場所と考えられています。普通、お祭りの中でも祓浄める行事をもってこの心を表します。
 即ち家庭にあっては神仏を祀る場所を斎庭と考え、常に清浄を旨として拝することを心がけましょう。これは敬虔な心より発するものであります。そして我々の立居振舞にも及ぼすことに思いを致したいものです。

六月

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