宮の杜




10、巫女さん


 巫女さんの「制服」である白衣に緋の袴は、お社の風景によく似合い、辺りには清浄感が漂います。
 昔の巫女さんは、神々の言葉を語ったり、御神託を受けたりして、それが時によっては国の政治をも左右することさえあったといわれています。幻の古代国家といわれる邪馬台国の女王「卑弥呼」も巫女的な力をもって国を治めていたらしいといわれています。
 巫女の歴史は、日常の生活と深く関わりながら今日に至っております。青森県下北半島恐山のイタコと呼ばれる巫女は、祭文を唱えながら自分自身に他の霊を呼び込み本人になりきって語ることができます。「口寄せ」といわれる行為です。依頼人の妻は、戦争などで亡くなった夫の「あの世」での安否を尋ねたり、別れた後の自分の生き方などを述べたりします。死んだ人と語り合えることができる「死に口」という口寄せです。
 現在の巫女さんは、御神符は授与品を頒布したり、時には舞姫として神社で舞をまったりする役目を担っておりますが、神々のお側近く奉仕するという意味では今も昔も変わりはありません。
 


一月

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