宮の杜




19、祝詞


 神社にお参りして、祝詞のないところはない、というくらい神社にとって、祝詞は切っても切れないものです。
 祝詞について、その歴史を振り返ってみると、はじめは、人間が神に寿詞を奏上すると、神から祝詞が返ってくるのが普通であったということです。つまり祝詞は神から人への言葉であったのです。しかし今は、神職が神へ奏上することばを祝詞といっているのです。
 本来はノリトゴトの略と言われていて、宣ることの略です。たとえば「古事記」上巻の天の岩戸の段では、「天児屋根命、布刀詔刀言白して」とありますし、「延喜式」巻八では、「天津祝詞事を宣れ」とあることからもわかります。
 さて、それでは祝詞は何のためのものでしょうか。これは言うまでもなく、神に願い事を述べるものです。
 少し専門的になりますが、祝詞は「のりと」と読み、「祝」の字は「いわう」という意味の他に「いのる」「ねがう」「神に申し上げる」等の意味もあります。つまり「祝詞」は、「神様に祈ったりお願いしたりするするために申し上げる言葉」という意味と考えてよいでしょう。
 祝詞の代表は「延喜式」(えんぎしき)と「中臣寿詞」(なかとみのよごと)です。



十月

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